叫び

ムンク「叫び」というのは絵の人物が叫んでいるのではないそうです。
彼をとりまく宇宙の叫びにおののいて、彼は耳を塞いでいるのです。
自然から湧き起こる力の圧倒に勝つことはできないからです。


人は愚かなことに、その自然に勝とうとしてなりふりかまわず闘ってきた。
負けているのに勝っているつもりで驕りたかぶり、結果、ろくでもない世界になっていることも知らずに。


ろくでもない世界を救ったのは、いつの時代も「負けを知る」弱い人間だったと思う。


弱い人間は戦争しない。
小さくうずくまりながら、なんとか生きていこうと叫び返したのが音楽であり文学であり絵画であったと思う。


良い表現にはブルーズが宿る。
そしてブルーズはいつでも新しい叫びだ。


そんなブルーズに引き寄せられて、今日もまた東へ西へ。